しかし昔から物持ちが悪い性分で、すぐ無くしてしまい、その記事は記憶の中だけの幻となったのです。
さて、開館したばかりの中央図書館を訪れて、読売新聞の縮刷版が1970年から置いてあるということが分かりました。
家で取っている新聞はずっと読売。もしかすると、あの記事が見つかるかもしれない…
そう思いまして、今日(日付変わって昨日)調べてみることにしました。
とはいえ、何しろその記事がいつのものか、年さえ分からないのですから、調査には苦労しました。
まず、『精工舎のCM』ということで、精工舎は時計メーカーですから、『時の記念日』あたりだろうと考え6月10日(および直前)にターゲットを絞りました。
記憶があるくらいなので、そう古くはないだろうと思い、1993年(平成5年)から6月号だけをずっとめくっていったのですが、結局見つからず。
諦めかけたその時、ふと思ったのです。『時の記念日』という観点が間違っているんじゃないか、と。
そこで、今度は『精工舎の時報CMは日本初のテレビCM』という点から、『テレビCMの節目の年』を調べることにしました。
件の時報CMが放送されたのは、日本テレビが開局した1953年8月28日。
50周年の2003年では新しすぎるので、40周年の1993年の8月号を読んでいくと…
見つけました。
1993年8月16日(月)から2週間、『CM今と昔』と題した記事が10本連載され、その第1回として『精工舎の時報CM』が取り上げられていました。それがこちら。

うーん、懐かしい…
ただの新聞記事なのに、何だか旧友に14年振りに再会したような気分です。
当時、趣味は時計とテレビだけだった小学1年生の僕はこの記事に心ときめいていたんですね…
ただ、こうやって大人になって読み返してみると、結構ツッコミ所を見つけてしまうんですねぇ。
「わが国初の民放」とか「最初のCM」といっても、これはあくまでテレビでの話。当然それ以前にラジオの民放局やラジオCMだってあるわけです。
「三十六ミリフィルム」(正しくは三十五ミリ)というのは、まあご愛嬌といったところでしょうか。
さて、この記事や他の資料でも「フィルムを裏返しで掛けてしまい数秒で放送中止」とあり、(自分も含めて)皆長いことそうなのだと思い込んでいました。
ところが、関係者の話では実際には「裏返しのまま30秒間放送された」のだというのです。
(参照:http://www.enjoy-cm.com/pc/library_1950.html)
フィルムの端には音声トラックがあり(これが「サウンドトラック」というやつですが)、フィルムを裏返しに掛ければ映像は左右反転して映りますが、音声は再生できません。従って、30秒間無音で放送していたということです。
それから、記事で紹介されている映像(上で紹介したページで見られます)は最古のテレビCMとしてたびたび取り上げられますが、これは「7時の時報」。
しかし、最初に放送され(るはずだっ)たのは「正午の時報」。この映像ではありません。
ではその最初の映像はどこへいったのか。
関係者でもなんでもないので詳しいことは全く分かりませんが、どうもフィルムが行方不明になってしまったようです。
一説には、日本テレビの10周年記念番組(1963年)で放送し、それ以降行方不明になったようです。
ただ、その記念番組がキネコで残されているらしいので、もし本当にあるのであれば、ぜひ見せてもらいたいものです。
うーん…本当は『記事を見つけた』ということだけを書くつもりだったのに、気がついたらとんでもない長さになってしまいました。
フィルムを掛け違えた理由や、先の「7時の時報」が開局当日の物ではないという説、当日精工舎以外にもあったCMなど、まだまだ書きたいことはありますが、もうやめましょう。
もし最後まで読んでいただいた方がいらっしゃいましたら、厚く御礼申しあげます。
(疲れた…)





